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ポルトガル語文法研究編『ポルトガル語文法の諸相』概説と『SE考』考手元に池上岑夫教授が執筆された『ポルトガル語文法の諸相』と『SE考』という本があります。『〜諸相』では、一般に「誤用」と片付けられてしまっていた(いる)、ブラジルでのポルトガル語の使用実態を含め、文字通りポルトガル文法のいろいろについて「なんでそうなるのか」ということが深く考察されており、『SE考』では、いい加減な解釈で見過ごされがちな、いわゆる再帰代名詞「SE」の正体を探る鋭い観察と推理が展開されています。どちらも、ポルトガル語のみならず、ロマンス語学習・研究に大きな手がかり足がかりを残した名著だと思います。書中にあります: 「文法とはほんらいたいへんオモシロイものである。その文法が無味乾燥なものとしか思えないとしたら、それは文法書で説かれている諸々の規則をただひたすら暗記しようとするところに原因の一つがある。しかしそうした規則を機械的に暗記しパヴロフの犬さながらになろうとするのではなく(理屈抜きにただ盲目的にたくさんの規則を記憶しようとすれば、それはたしかに知的作業とはおよそ無縁なオモシロクモナイ“労働”になろう)、一歩踏みこんで、たとえばある規則が与えられたとき、その規則がポルトガル語ぜんたいから見て果たして問題のないものであるかどうか、その規則で説明できない現象がありはしないか、もっとべつな規則をたてることが可能ではないのか、あるいはある現象を例外としている規則があったとき、果たしてそれが例外をなすものであるかどうか、例外とされているものまでカヴァーできる新しい規則をなにかたてることはできないのか、といったことを考えるようになれば、無味乾燥なものと思われていた文法もそれまでとは異なる相貌を呈してくるはずである。」 長い引用になってしまいました(句点は3つだけなのですが)。 要するにどういうことかと言いますと、いざポル語の文法を覚えようというときに、
「オイオイ聞いてないよー」とみんながみんなリアクション芸人のようになってしまうわけです。そこで、
これはありがたいですよね?(池上教授による入門期の講義の余談で、「外国語を覚える能力の一つは、ルールをみつける力だ」という話がありました。) さて、これらの書籍ですが、ポルトガル語にある程度親しんだ人(かつ、文法の「なぜ」を考えるのが好きな人)にはたまらない文献なのですが、いかんせん間口が狭いというか敷居が高いというか(本当は「そう見える」だけなんですが)、読み取るのには若干のパワーが求められます。ここを指してか、『諸相』と『SE考』をはじめとする、池上教授らの研究については、「寝た子を起こすようなことをしないでも」とか、「小難しいことは置いといて、覚えてしまえばいいんだ」といった批判がされることがあります。これについて池上教授は随所に「暗記することの必要性を否定しない」「決して簡単なものを難しくしようとするものではない」「むしろ、難解とされている規則(例外)を整理し、理解しやすい形にしていくことが目的である」と答弁をされています。私も大賛成です。しかし、読んでいると、やはり、くじけそうになります(笑)。 そこで、同著をさらに噛み砕いてみたらばどうだろうか、と思いついた次第です。どうしても暗記が必要な部分は別途頑張るとして、その他のおかしな文法ルールから初心者の方を守ることができるのではないか。既習者の方が忘れかけたポル語を思い出す手がかりにできるのではないか。もちろんバリバリの使用者の方でも「そうか、気にせず口にしてたけど、そういう意味だったのね」とさらに、表現力を豊かにしていく一助となれるのではないか。そんな、大きなことを口実に、自分の復習を始めていきたいと思っています。 また、同時進行の「文法じっくり編」などとの同期というか、「なんでこうなるの?」と引っかかるようなところの補足説明として使えるよう、リンクを張りまくることも考えています。 とりあえずの形になるまでは、一種の読後感想文、あるいは学習ノートのようなものと思っていただきたいということで、池上教授と大学書院様には無断のまま見切り発車させていただきます。もちろん、問題箇所の訂正削除等は、さっさとやるつもりですので、ご指摘ください。 ところで、自分のいい加減なところを棚にあげて言うのもなんですが、当サイト記載事項の転記・転用はご遠慮ください。著作権(自分よりも引用元の)ということもありますし、自分の間違いが一人歩きをはじめるのは耐えられませんので。もちろん、基本線として、ここで書いたことの正誤の責任は私にあると思っていますが、、、。どうか、ご理解くださいませ。 ÍNDICE:
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