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4.名詞の省略4−1.所有詞の正体「定冠詞の省略」NGPCでは、所有詞とともに現れる「定冠詞の省略」という現象について以下のように説明されています。
結果的な意味上の差異はこの通りだと思いますが、なぜ、こういう違いが生じるのかは説明されていません。そもそも「定冠詞のあるなし」は「使用」「省略」という関係と見ていいものでしょうか?「省略」ということは、Este cinto é o meu. から定冠詞を省略すると Este cinto é meu. が得られる(もともと同じ構造の文)ということでいいのでしょうか?ということも気になりますが、「所有」の問題が話題になっているので、まずは所有詞とはなにかというところから確認します。(待ちきれないという方は、解答へ先回り) 所有詞NGPCでは、所有詞(の機能)を以下のように定義しています。
たしかに、minhas filhas, nossa motocicleta, sua namorada などは、「所有」を意味していますが、、、 minha partida, nossa traição などは、「所有」を表していると言えるでしょうか? たまたま日本語でも「私たちの○○」などと言えるので、見過ごしがちですが、むしろ、「主語と述語動詞」(私が出発する、私たちが裏切る)または「述語動詞と目的語」(私たちを裏切る)という関係を表していると見えます。これを「所有」とするのは解釈を広げすぎではないでしょうか。この問題を考えるために、所有詞の機能的構造を確認します。 所有詞の機能的構造
(灰色網掛け)は普通は使用しないが構造的に想定できるもの、黄色網掛けは常用されるもの、緑色網掛けは常用ではないがあり得る形です。EU, NOSは、「文法的格変化が起きる前の基本形」という、ここでの考察用の概念上の形です(もうちょっと詳しく?)。 こうした構造を考えれば、「主語+述語動詞」という文の名詞化の説明にも応用が効くようになります。「S V」という文の意味するところを、Vと派生関係にある名詞(Vnとします)を使って表すと、「Vn de S」となります。
同様に、「私たちが裏切る」というときも、 材料として、NOS と 述語のもととなる基本形TRA- が想定されます(もうちょっと詳しく?)。 文とするならば、
となり、名詞句とするならば、
となるわけです。 「私たちを裏切ること」という場合、「私たちを裏切る」という文の主語は必ずしも明示されません、、、ので、とりあえず主語は△としておきます(説明上)。 文ならば、△+V+O、名詞句ならば Vn de O (→所有詞+Vn)となります。 名詞句づくりを確認すると、△ TRA- NOS から、
traição de NOS という言い方が実際にはなく、直接 nossa traição が出て来るのは、「私たちが裏切る」でも「私たちを裏切る」でもかわらない状況です。 と見てくると、「所有詞」(「所有代名詞」でも「所有形容詞」でも)と、「所有」という名前を使うことにはイマイチ感があります。ただ、実際所有関係を表す用法が多く、また、それにかわる「よい名前」もみつからなそうなので、とりあえずこれでいっとくかというところです。ただ、minha partida や nossa traição のように「所有関係」を表さないケースも多く、そこを含めて理解するには、上記のような構造を包括的に理解するステップが必要ではないか、というとりあえずの問題提起でした。 これを踏まえて(長かった)、「定冠詞のあるなし問題」の考察に進みましょう!>> |
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