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3.冠詞
「冠詞の出現パターンと意味の違い」を中心に、前段までに見た冠詞の機能は次のようにまとめることができます。
(定冠詞にせよ不定冠詞にせよ)冠詞の第一の機能は、直後に現れて共起する名詞が表す事象が「特定(específico)」であることを予告することにある。 |
確認のために、その他機能を含めた全体的な定義も再掲します。
- 単数形の場合
- 名詞の前に冠詞があること=対象の名詞が表す事象が「特定(específico)」であることを示す。また、名詞の前に冠詞がないこと=対象の名詞が表す事象が「特定」ではないことを示す。
- 定冠詞があるということ=対象の名詞が「特定」でありかつ「definido」であることを示す。
- 不定冠詞があるということ=対象の名詞が「特定」でありかつ「indefinido」であることを示す。
- 複数形の場合
- 対象の名詞が表す事象は必ず「特定」である。
- 定冠詞があるということ=(対象の名詞が「特定」でありかつ)「definido」であることを示す。
- 不定冠詞があるということ=(対象の名詞が「特定」でありかつ)「indefinido」であることを示す。
|
単数 |
複数 |
非特定 |
criança |
なし |
特定 |
definido |
a criança |
as crianças |
indefinido |
uma criança |
crianças |
以上に見るように、直後に現れる名詞が表す事象が「特定(específico)」であることを予告することは、定冠詞と不定冠詞の特徴的な機能のですが、他にもこの機能を担う言葉があります。
- 指示詞(池上教授は「指示形容詞」と呼ぶべきでないとしています)
- este esta esse essa aquele aquela
- esta casa (「この家」)と言う場合、この家は「特定」かつ「definido」な存在。。聞き手もestaが聞こえた段階で、そのことを予感する。
- a esta casa, uma esta casa といった使い方がありえないのは、「特定かつdefinido」であることを示すという機能ゆえ
- 定冠詞との重複を避けるため
- indefinidoであることを示す不定冠詞とは共存できない
- 「不定形容詞」(という呼び名にも疑問があるようです)の一部
- (ある〜、という意味の) certo (certa) (「確かな〜」は同音異義語)
- 「ある日」と言う場合、um certo dia,
certo dia, そしてまれにum dia certo(通常は「ある決まった日」の意)の3通りが可能
- 「ある〜」という意味は「特定かつindefinido」であるということを含む
- 名詞の前で「予告役」を務める場合には、不定冠詞と重複するので、不定冠詞を省略可能
- certoが名詞の後にある場合は「予告役」になれないので、不定冠詞が「予告役」となり、省略不可
- certoではなく不定冠詞が省略されるのはcertoの「意味」を伝えるため
- 定冠詞が付くことはない
- 「ある〜」という意味が「特定かつindefinido」であって、「特定かつdefinido」の定冠詞と共存できないため
- qualquer
- 「どの日でも」(あるいは「いつと限らないある日」)と言う場合、qualquer
dia, um dia qualquer, まれにum qualquer
diaの3通り。定冠詞は使えない
- outro (outra)
- 「別の家」については、a outra casa,
uma outra casa, outra casa のように冠詞の使い分けが生じる
- 「特定」であることは予告するが、「definidoかどうか」については中立(指定しない)
- 「definido」であることを示す(予告する)ためには、定冠詞を用いる
- 「indefinido」であることは、無冠詞であることで伝えられる
- 不定冠詞はむしろ数詞「1」的な意味表示のために使われている
- 数詞
- 例えば、as duas irmãs と duas
irmãs の違い
- 「数詞が『つぎの名詞の指示するものあるいはことが
específico
である』と予告する機能を果たしていることを考えれば、なぜ冠詞がこのような現れ方をするか、ここであらためて述べる必要はあるまい--と、書いてありますが、念のため具体的に書き出すと、、、
- 数詞があることで、続く名詞が示す事象が「特定(específico)」であるということが予告されるが、「definido」かどうかについては中立(指定しない)
- 「definido」であることを示す(予告する)ためには、定冠詞を用いる
- 「indefinido」であることは、無冠詞であることで伝えられる
正直、ここまでくると「数詞」の意味の一環でespecíficoであることがたまたま示されているだけではないか、というか、「複数はそれだけで(無冠詞で)específico」と定義した後だけに、数詞があってもなくても、定冠詞と無冠詞の現れ方・específico definido の識別については変わりがないのではないか、、、とも思いますが。 |
これらについて、『諸相』では、「特定詞 (especificador)」といったカテゴリーを設けることが提案されています。各品詞の意味的な機能による分類とは別に、それ以前に、、、
- その存在が修飾対象の名詞の特定(especificação)に関与すること
- 複数の特定詞の共起の可否
- 複数の特定詞がともに現れるときの順序
といった統語構造に関わる部分をクリアに理解できるような筋道だてが有用・必要である、という話です。
また、特定詞に似た存在(似て非なるものということで、、、そのココロは別途解説)として「所有詞」が挙げられています
と、indefinidoであることを不定冠詞を用いて積極的に示す(不定冠詞がない=definido)となっているほかは、他の例と同様。
あとは、こうした定義(仮説)を裏付ける例を集める作業が必要となるところですが、ページも限られているので省略だそうです(ナマ殺し)。私も落ち着いたら探します。 |
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