冠詞2
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3.冠詞

3−3.修飾語句をともなう名詞と冠詞の機能

修飾語句があっても冠詞の使い方・機能は同じ

名詞とともに現れてその名詞を修飾する修飾語句(形容詞、前置詞句、関係代名詞節など)の代表的な機能は、名詞が指定する集合内の部分集合を作ることです。

aluna que tem dezenove anos de idade

などという例でみれば、

  1. ○ 女学生 − ×女学生でない者
  2. 女学生のうち、、、○19歳の者−×19歳ではない者

と、対象が絞り込まれていきます。一般に関係代名詞節の「制限的用法」と呼ばれるものです。同様の機能は形容詞や前置詞句にも見られます(aluna alta, anos de carreira, carreira como professora など)。

一方で、こうした部分集合を作る機能を果たさない「非制限的用法」についても、関係代名詞節のみならず形容詞・前置詞句にも同様の用法が認められます。

本筋と外れるので『諸相』では飛ばしてありますが、「非制限的用法」というのは、

Não ofereci bebidas à aluna, que tem apenas dezenove anos.

のように、修飾部がなくても話が通じる、説明・叙述目的になっているといったもののことで、、、この部分、a aluna com apenas dezenove anos とか、a aluna jovem などとも言えるでしょう。

「修飾語句がなくても話が通じる」ということを念頭に、主節部分で話が完結するように作ったため、a aluna、と定冠詞付きの名詞を出しましたが、修飾語句(「制限的」でも「非制限的」でも)によって「特定(específico)」であるかどうかが決まるわけではありません。その区別のために、冠詞ありの場合となしの場合が存在するとも言えます。これまた『諸相』では飛ばされているのですが、色々な組み合わせが考えられるので、例を挙げておきます。

とにかく酒癖の悪い学生に毎度困らされたあげくに酒場の主人が下した苦渋の決断:

Não ofereço bebidas ao estudante, que não sabe beber.  (あの学生には飲ませない、、、飲み方知らないし:「非制限的用法・特定・definido」)

Não ofereço bebidas ao estudante que não sabe beber.  (飲み方を知らないあの学生には飲ませない:「制限的用法・特定・definido」)

それに懲りて、もう学生はイヤだと思ったら、こんなことを言うかもしれません:

Não ofereço bebidas a estudantes, que não sabem beber.  (ウチじゃぁ学生には飲ませねぇ、、、飲み方わかっちゃいねぇし:「非制限的用法・特定・indefinido」)

さらに理屈屋で変なときに話が通じる主人だったら、こう言うかもしれません:

Não ofereço bebidas a estudante que não sabe beber. (ウチではお酒の飲み方がわかっていない学生には飲ませないことにしています:「制限的用法・非特定」)

常連さん相手に愚痴りはじめるパターン:

Não ofereço bebidas a um estudante, que não sabe beber.  (一人、飲ませてない学生がいるんだ。飲み方しらなくってさ:「非制限的用法・特定・indefinido」)

Não ofereço bebidas a um estudante que não sabe beber.  (飲み方を知らないある学生には飲ませないことにしているんだ:「限定的用法・特定・indefinido」)

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修飾する側にまわっても

「前置詞+名詞」という前置詞句が形容詞または副詞の機能を担うとき、名詞に冠詞がつくときとつかないときがあります。

「前置詞+裸の名詞」は、対応する形容詞・副詞(があれば、それ)を使って言い換えることができます。

  • Sigam os processos em seqüência.
    • Sigam os processos seqüentes.
  • Vi os fotos em seqüência.
    • Vi os fotos seqüentemente.

一方「前置詞+冠詞付きの名詞」は、形容詞・副詞で言い換えることはできません。

  • Editei os fotos numa seqüência lógica.
  • Qual será o número que deverá ocupar o próximo lugar na seqüência abaixo?

この違いは、すなわち「特定(específico)」であるかどうかの違いです。このことは形容詞・副詞に「特定化(especificação)」の機能がなく、冠詞にはそれがあると考えるべき根拠となります。

ところで、"Faz parte do meu show." における "fazer parte de" のような決まり文句について、「抽象名詞を含む熟語には冠詞を使わない」と教えられることもありますが、、、

  • Ele fez uma grande parte do meu show.
  • Meus parabéns para o grande parte que ele fez no meu show.

という使い方もあります。ここでも、冠詞の有無が「特定(específico)」かどうかの違いを示していると考えるべきでしょう。

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