音節の強弱
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弱い音が聴き取りにくい

別途まとめようと思っていますが、一語一語のみならず、文や句の中でも自ずとアクセントの強弱が生じ、「その言語らしさ」のポイントになっています。いい例が冠詞で、冠詞は、文の中で完全に脇役扱いです。文法用語ではproclitic (proclítico)と言い、「後接語」などと翻訳されます。「何かの後に接続する」のではなく、「何かしら後のものに接続する」ということのようです。そうすると漢語的には「接後語」ではないかとも思うのですが、エライ人が決めてしまったことなので仕方ありません。

どのように脇役かと言いますと、例えば "o samba" (サンバ)。[オ(またはウ)サンバ]の[サン](鼻母音)にアクセントがある([オ]と[バ]は弱い)ということは、すぐわかりますが、拍のとり方として、オ(またはウ)は前の小節の最後の裏拍で、次の小節のアタマで[サン]と来て、申し訳程度に[バ]がついてくる、という感じです。慣れないと、「[オ]や[バ]なんて言ってるのか?」というくらい聴き取りづらい発音をするブラジル人もいます。

慣れないと聴き取りづらいといえば、ちょっとこれ→を聞いてみてください。

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バックの歌は置いておいて、男性の台詞のようなものは、どのように聞こえますか?

これは何かと言いますと、、、リオのカーニバルで近年優勝を続けているBeija-Florというグループがありまして、、、本拠地がニロポリスという地区(リオの衛星都市のひとつ)にあり、リードボーカルであるネギーニョが歌の合間に決め台詞のように "Alô, Nilópolis!" 「やあ、ニロポリス(行くぜ、ニロポリスのみんな)!」と叫んでいるものです。極端な話、これが慣れない人には[オニオー]ぐらいに聴こえてしまうようです(どうでした?)。たしかに譜割的には、節分豆まきの「鬼はーそと」に似ているかもしれませんが。

まずLの発音に慣れていないということを差し戻しても、[ロニロー][][ポリス]はどこへ消えたのでしょうか。ここではNilópolisの[ロ]が主役で、[アロニ]までが助走、[ア]は助走の[ロ]のさらに前にこっそりと、[ポリス]は最強の[ロ]の後に申し訳程度に存在しています。

一方、「"Alô, Nilópolis!" だよ」と解説を受けてみると、聞こえてきたりしないでしょうか?それでも聞こえないという方は、、、もうちょっと繰り返し聞いてみてください。

こうした現象は、文字と音声をつなぐ練習の必要性を示唆しています。ポルトガル語の場合、なまじ日本語とアルファベット表記のルールが似ているばかりに、つい音的にも日本語のアルファベット書きのつもりで読み進めてしまうことがありますが、そればかりだと、聞こえませんし、話せません。私も、つい「慣れることだ」などと言ってしまいますが、ここでの「慣れろ」の意味は「脳内にポルトガル語そのものの発音とスペルの連携を作れ。できるまで繰り返せ。」ということです。きっと効きます。

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