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HOME > ポルトガル語 > トピック > 「命令用法」の実際 「命令用法」の実際例: 「止まれ」(parar)文法的に正しいと言われる体系
ブラジルでの慣用体系
命令法と直説法現在の混用について
この点について、池上岑夫教授らの研究では、「ブラジルでは新しい三人称のTuと呼ぶべきものが生じており、そのために、強い命令、親しい者への命令には直説法現在の三人称活用が使用される」という説が挙げられています(詳細はこちら)。 とりあえず、現象面を確認すると、そもそも命令法の形の作り方として、「直説法現在の二人称活用から語尾のsを取り除いたもの」というルールがある一方で、大半の動詞では、「直説法現在二人称単数の活用形と直説法現在三人称単数の活用形の違いは語尾にsがあるかないか」となっています。つまり、直説法現在二人称単数の活用形から語尾のsを取り除いた命令法(単数)の形と直説法現在三人称単数の活用形とは、大半の動詞で「結果的に同形」ということになるのです。
どうやら「ホンモノの命令法」ではないらしいと考えさせられる事例1.Conduzir (搬送する)「オイ貴様!この荷物をソロカーバまで搬送せよ!」と言うときの「搬送せよ」は? a. Conduza! b. Conduz! c. Conduze! (文法的にはc、慣用的にはb)
2.Fazer (する)> Fazer (um / o) favor (de〜) (「お願いだから〜してちょうだい」)軽食屋で、「ねぇ、大将!お願い(注文したいんだけど)!」の「お願い!」は? Ô, chefe! ?????? a. Faça favor! b. Faz favor! c. Faze favor! (これも文法的にはc、慣用的にはb) 否定なら接続法?「そんなことすんなよー!」 a. Não faça isso, não! b. Não faz isso, não! c. Não faze isso, não! (文法的にはa、慣用的にはb) 3.Trazer (もってくる)「コーヒー2つ頂戴よ!」と注文するには? ?????? dois cafezinhos para a gente, por favor. a. Traga b. Traz c. Traze (文法的にはc、慣用的にはb) まだまだ、ありそうですが、つまりは、「命令法を使ってるよ」と言い張るのなら、「c」を使ってる筈だろう?あと、「否定なら接続法」ってルールはどこ行ったの?というツッコミです。先ほど、大半の動詞で、命令法単数形と直接法現在三人称単数の活用形は結果的に同形と書きましたが、大半でない、例外的に違う形のものがどうか、と見ると、やはり直説法現在で言ってるじゃないか、ということです。「あれ、命令法って直説法現在の三人称単数と同じじゃなかったの?」とボケをかまされる余地はありそうですが。 さんざんリソースを費やした上で、ナンなんですが、少なくとも日常会話での(単数への)命令では、直説法現在の三人称単数を使って大丈夫(使われても、こだわらないほうが楽)というところで、どうでしょうか? 複数相手への命令は接続法だけかブラジルの国語文法などでは、複数の相手への命令は、相手が親しくても、強い命令でも(「本来の文法」で命令法が用いられていたはずの位置)、接続法現在3人称複数形を用いることとされています。実際、書籍、雑誌、テレビ、ラジオなどエディターのチェックが入るであろう場面では、ほとんどが接続法現在3人称複数に統一されています。 例えば、ブラジルではアメリカ経由か、日本の「戦隊モノ」などがよく(吹き替えで)放送されていますが、そこで登場する命令の台詞は接続法です:
それでは、直説法現在3人称複数は絶対に使用しないか、というと、そうとも言い切れないものがあります。言い間違い、あるいは誤用と片付けるとすると、「(少なくとも)表示上、複数相手への命令には強弱や親密度の区別がない」「単数にはそれがある」などと、例外の多い話になり、すっきり感が薄くなります。とりあえず、ふとした拍子に口端にのぼることはありますので、これまた、言われてもビックリしないでください。 "Levantam-se. Levantem-se. Tem gente morrendo (de malária) no país dele hoje" 「立ち上がって!彼の国では今もマラリアで死んでいく人がいるの」 タンザニアのマラリア撲滅運動に寄付を行なったシャロン・ストーンの演説を報じた、有力紙"O ESTADO"の記事(2005年1月28日、リンク先が消えたり、「熱心なエディター」によって修正されるかもしれませんので、一応保存しておきます)。現場では、"Just stand up."と繰り返していたようですが。 特殊な命令不定詞上官が部下に向かってする命令や道路標識に、不定詞が用いられることがあります。
直説法過去3人称単数ゲームやスポーツの「はじめ」「おわり」という合図に限って、直説法過去3人称単数形が用いられることがあります。「はじまったゾ(動かないと遅れるぞ)」「終わったゾ(これ以上やったら反則だぞ)」といったニュアンスを感じます。
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